水圧の安定化にエアチャンバーの設置効果

水道の収録用語:エアチャンバ

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エアチャンバ
水道管や配管システム内でウォーターハンマーを制御するための装置です。ウォーターハンマーは、急激なバルブの閉鎖や急激な流体の停止によって生じる圧力変動や振動の現象です。エアチャンバーは、これらの圧力変動を吸収し、配管システム内の水圧を安定化させる役割を果たします。
エアチャンバーの主な特徴や構造について以下に説明します。
空気充填部
エアチャンバーには、水道管と接続される一部分に空気を充填するためのスペースがあります。この空気充填部は、圧力変動を吸収するために重要です。
水と空気の仕切り
エアチャンバー内部には、水と空気を仕切る仕切り壁があります。この仕切り壁によって、水と空気が混ざらずに保たれ、効果的に圧力変動を吸収します。

エアチャンバーの動作原理は次のようになります。
a.エアチャンバーには、水道管内の水圧が安定した状態で充填された空気が含まれています。
b.バルブを急激に閉じるなどの操作によって、水流が急激に停止すると、ウォーターハンマーが発生します。このとき、エアチャンバー内の空気が圧縮され、圧力変動を吸収します。
c.圧力変動が吸収されると、エアチャンバー内の空気は圧力が下がった状態となり、次に水が流れ込むときに再び空気が圧縮されて水圧を安定させます。

エアチャンバーは、特に大規模な水道供給システムや産業用配管システムでウォーターハンマーの問題を制御するために使用されます。正しく設計されたエアチャンバーは、システム内の水圧変動を最小限に抑え、設備やパイプラインの保護に貢献します。

エアチャンバーを用いる効果
エアチャンバーを用いることで水道配管内の急激な圧力変動を抑えウォーターハンマーの発生を防ぐ効果が得られる。水道設備では蛇口やバルブの開閉時に水流の速度が変化し、それに伴う圧力の急上昇が振動や衝撃音を引き起こすがエアチャンバーはこの現象を緩和する役割を果たす。エアチャンバーの内部には空気が封入されており水圧が急上昇した際にはこの空気が圧縮されることで衝撃を吸収し配管内の圧力変化を和らげる。特に瞬間的に大量の水が流れる洗濯機や食器洗浄機などの設備では、給水バルブの急閉によって強いウォーターハンマーが発生しやすいため、エアチャンバーを設置することで振動の伝播を抑えることが可能となる。また、エアチャンバーの設置位置は重要であり衝撃が発生しやすい給水バルブの直近に取り付けることで最大限の効果を発揮する。さらに、エアチャンバーは水道設備の耐久性向上にも寄与し配管の継手やバルブ部分への負荷を軽減し水漏れや破損のリスクを低減する。特に長期間使用する設備では、ウォーターハンマーによる振動の蓄積が配管の劣化を早めるため、エアチャンバーを導入することで設備の寿命を延ばすことができる。ただし、エアチャンバー内の空気は時間とともに水に溶け込んで減少するため定期的なメンテナンスが必要であり必要に応じて空気の補充やエアチャンバーの交換を行うことが望ましい。近年では空気の自動補充機能を備えたエアチャンバーも登場しており、メンテナンスの手間を減らす工夫がなされている。エアチャンバーを適切に設置し、定期的な点検を行うことで安定した水道環境を維持し騒音の軽減や設備の長寿命化を実現できる。